小さな金属を接合する事をなりわいとするマイクロ電子では溶接に関わらず装置の供給を行っている。
以前にもコラムで記載したことがあるが、めがねフレームのロウ付け装置も製作している。
金属間にはさんだロウ材に電気を通電して抵抗加熱し、ロウ材を溶かして接合するのだ。※ロウ付け
その装置の多くは福井県の鯖江に出荷している。
鯖江には多くの微細ロウ付けの技術がある。
めがねフレームでチタンは金属アレルギーも出にくい素材なので重宝されている。
以前に何度か「チタンを溶接で出来ないか?」と実験以来が来た事がある。
しかし、強くつけようとするとモロクなってしまうのだ。
なかなか難しかったのだ。
現在ではチタンのロウ付けは鯖江では当たり前の技術として浸透している。
溶接ではあまり無い三相通電の装置が鯖江のめがね工場にはごっそり置いてある。
通常の通電では薄い部品と厚い部品を重ねて抵抗加熱すると薄い部品に熱のダメージが出てしまうのだが、 三相通電では厚い部品と薄い部品の熱量コントロールが出来るのだ。
その為、部品のダメージを最小限に押さえてロウ材を綺麗に溶かして接合する事が出来る。
このコントロールを各社ソフトを作ってチタン対応にする努力をしてきたのだ。
現在ではほぼ当たり前のように出来る技術になっている。
メガネの生産は中国の安い人件費に負けて、 高い技術を持っていても、余裕で経営しているところは少ないという。
鯖江の眼鏡工場のホームページにチタンロウ付けの技術を記載しているところもある。
めがね以外のチタンロウ付けのニーズを引き受けたいからだと思う。
現場で話を聞くと「なかなかよその業界から仕事が来た」と言うような「うわさは聞かない」というのが現状のようだ。
鯖江のめがね工場は10~20人で手作業で加工している工場が多く、 大きな工場で自動機で行うような月間数百万個作るような仕事を受ける事は出来ない。
しかし、1000個~100000個/月のようなニーズがあれば、 メガネにこだわらず一生懸命やりたいという意気込みがある業者があふれている。
日本の誇れる高い技術を有効利用することが出来れば、とマッチングについて模索したいと思っている。
同じ業界に居るものとして出来る事はしたいと思うのである。